昔から、自宅にホームシアターを作るのがひとつの目標だった。
最初に買ったのは、SONYのX95Lという65インチテレビ。画質はめちゃくちゃ良かったし、壁寄せスタンドに置いた見た目にも満足していた。でも映画を観ていると、シネスコ作品では上下に黒帯が入る。「65インチでも意外と小さいな」と感じるようになった。
次に音を変えた。横や後ろ、上から音が聞こえてくる立体音響に憧れて、JBL BAR1000を導入したら、これが想像以上によかった。音が一気に映画館っぽくなると、今度は画面の小ささや、視界に入ってくる白い壁や家具まで気になってくる。
結局、今は84インチのスクリーンとDangbei DBOX02 MARS PRO 2を使っている。黒浮きは気になるし、84インチにもすっかり慣れたので、本音を言えばもっと大きくしたい。でも100インチにするなら、もう引っ越しから考えないといけない。
今の部屋でできることを考えれば、かなり満足している。
そんな私が、Netflixを解約した。
映画に飽きたわけでもない。Netflixが嫌いになったわけでもない。むしろホームシアターがあるからこそ、加入するなら4KやDolby Atmosを活かせる上位プランを使いたい。
それでも解約した。
理由は単純で、Netflixをちゃんと楽しめるほど、映画を観る時間がなかったからだ。
Netflixが高いんじゃない。観る時間がない
Netflixのプレミアムプランは、2026年10月時点で月額2,290円。4K・HDRに対応し、対応作品と対応機器ならDolby Atmosも楽しめる。
別にこれが法外に高いとは思わない。映画やドラマをたくさん観る人なら、大人の趣味としては十分アリな金額だと思う。問題は、私がそこまで観られないことだ。
私はシフト勤務で、休みは月に9日ほど。平日休みなら、子どもが保育園に行っている間に映画を一本観られる。でも土日祝なら、基本的には家族と過ごす。
仕事の日に「子どもが寝てから一本」というのも、生活リズム的にまずない。子どもは私たちとだいたい同じ時間に寝るし、私自身も22時くらいには寝ている。つまり映画を観られる日は、思っている以上に限られている。
しかもAmazon Prime Videoも使っている。両方から半々くらいで作品を選ぶなら、Netflixで観るのは月4〜5本程度になりそうだ。
新作でも数百円でレンタルできる作品があることを考えると、「それなら観たい作品をピンポイントで借りればいいのでは?」と思うようになった。今はアマプラを基本にして、観たい新作はApple TVなどのレンタルで補完する。
妻と子どもが帰省して、自分の休みも多い。そんな月ならNetflixに入り直せばいい。
Netflixが高いんじゃない。
私には、それを安いと思えるほど使う時間がない。
最近は「観たい映画」より「90分で終わる映画」を探している
時間がない影響は、サブスクだけじゃない。
最近、映画を選ぶときに「何が一番観たいか」より先に上映時間を見ることが増えた。本当は2時間半くらいある大作を観たいのに、90分から100分くらいで終わる作品を探していることが結構ある。
2時間半、3時間の作品を一本観ると、それだけでその日の自由時間がほぼ終わってしまう。映画だけが趣味ならそれでもいい。でも私はゲームもしたいし、映画を観たあとにコーヒーを飲みながら少しぼーっとする時間も欲しい。
『インターステラー』や『ダークナイト』のUHDも持っている。どちらも好きな作品だし、自宅の環境で観る価値もある。でも長いので、「せっかくなら時間がたっぷりある日に」と後回しになって、たしかまだ1回ずつくらいしか観ていない。
だからといって、円盤を買ったことをもったいないとは思わない。円盤には、画質や音質だけじゃなく、好きな作品を手元に置いておける満足感がある。10年後でも20年後でも、観たくなった日に棚から取り出せる。
好きな映画を所有していること自体が、趣味の一部なんだと思う。
ただ、好きな大作ほど「時間がある日に」と温存して、なかなか再生しない。
これはちょっと皮肉だ。
それでもホームシアターを作ってよかった



ここまで書くと、「せっかくホームシアターを作ったのに使えていない」という話に見えるかもしれない。でも、まったくそんなことはない。
週に1〜2回、2〜3時間だけでも、部屋を暗くして大きなスクリーンで映画を観る。その時間があるだけで、仕事や日常からかなり離れられる。映画を一本観終わるころには、頭がリセットされたように感じることも多い。
私にとって映画やゲームは、ただ暇を潰すためのものではない。以前、「役に立たない趣味」が社会人の人生を豊かにするという記事でも書いたけど、現実から少し離れて別の世界に行ける時間は、会社員生活を続けていくうえでもかなり大事だと思っている。
だから「もっと使わないともったいない」とは思わない。週に数時間でも、その数時間がある意味は大きい。
欲しいものはだいたいある。今欲しいのは、それを楽しむ時間
映画を観る環境については、昔の自分が欲しかったものをかなり手に入れた。大きな画面もある。音響も整えた。観たい映画もゲームも、むしろ消化しきれないくらいある。
もちろん物欲が消えたわけではない。100インチのスクリーンは欲しいし、BAR1300MK2もちょっと気になる。でも、今の環境でも十分楽しい。
だから最近は、新しい機材よりも、その環境で映画を一本ゆっくり観られる時間の方が欲しいと思うようになった。
ホームシアターを作る前は、画面の大きさや音の迫力が足りなかった。それをある程度手に入れたら、別のものが足りないことに気づいた。
好きなものを、焦らず楽しむ時間だ。
Netflixを解約したのは、たぶんそのことに気づいた小さな出来事だったんだと思う。











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